2009年01月05日

アメリカの地球温暖化対策

 フリードマンは、単純明快にこう言い切る。

 「アメリカは問題を抱えている。世界は問題を抱えている。アメリカの問題とは、ここ数年間、いや10年間、国際社会の中で迷子になってしまったこと。その原因はひとつには9・11と呼ばれる米中枢同時テロであり、今ひとつは、過去30年間にわたり、アメリカ人が積み上げてきてしまった悪い習慣による結果である。アメリカは直面する巨大なものにチャレンジするだけの力と意志を弱めてしまった。世界が抱える問題とは、地球の温度を上げ、人類をまっ平らにし、人口増加を促進させたこの現実である。言い換えれば、それは地球温暖化、驚くべきほどの中産階級の出現、急激な人口の増加だ。これこそがわが地球を危機に陥れている元凶なのだ」

 なにやら、「今やアメリカこそが問題をもたらす存在そのものだ」と公言してはばからぬ仏歴史学者、エマニュエル・トッドの主張にも似た指摘ではある。が、フリードマンはその現実を認めながらも、それでもこの国際社会を救いうるのはアメリカしかいない、という点でトッドとは正反対の結論を導き出す。

 フリードマンはこう指摘する。

 「この悪循環はどうして出来上がってしまったのか。車、冷蔵庫、エアコンといった当初はアメリカの中産階級に蔓延(まんえん)していた消費主義がグローバル化し、200億、300億の『アメリカ人』を増殖させてしまった。その結果、エネルギー需要は天井を突き破り、供給が追いつかなくなってしまったのだ。エネルギーを求める貪欲(どんよく)さはそのもの自体が危険なだけでなく、二酸化炭素は大気にまき散らし、地球を温暖化させ、貴重な生物を撲滅の危機にさらしている。その一方で、われわれは石油を独占する独裁者どもにへつらい、物ごいをしているのだ」

 そこにはトッドの祖国、フランスも無論入っている。フランスもアメリカを批判する一傍観者ではありえない、とでも言いたげだ。それではアメリカは何をすべきか。

■今こそ必要なアメリカ大統領のリーダーシップ

 フリードマンは、具体策を提示する。

 「まずアメリカが率先してやるべきは、もう一度最初からやり直すことだ。今こそ本腰を入れて抜本的なクリーン・エネルギー・システムの構築に乗り出すことだ。今までおしるし程度にしか手をつけていなかったソーラーエネルギー、風力、原子力の開発に連邦政府は乗り出すべき時がきている。各家庭、職場、自動車にクリーンな電力を送電するために電力会社にはっぱをかけ、エネルギー市場を再形成するのだ」

 そのためには大統領の決断と権限が不可欠になってくる。石油、石炭産業のために働くロビイストを追い散らし、新エネルギーの開発と実用化を揺ぎない国家目標に据える大統領のリーダーシップが必要だというわけだ。

 「アメリカがそれをやれば、他の諸国も自らの国益を考えて、従ってくるだろう」とフリードマンは自信ありげだ。

 本書を読み進むと、フリードマンがインタビューした世界中の人たちの声が心に残る。イラク駐留のある米軍将校は、「武装勢力からの攻撃を恐れながらイラクの石油を確保することよりも省エネを徹底し、石油以外のエネルギー源を確保することの方がいかに安全で地球に優しいことか」の一言。「熱帯雨林を焼き尽くすのは、ちょうど夕食を作るためにルーブル博物館にある貴重な絵画を燃やすようなものだ」というつぶやき。「資本主義は市場に対してエコロジカルな真実を伝えることを怠っていると、本当に崩壊してしまう」と警告するノルウェーの会社重役。彼らの一言一言が現場からの発信になっている。

 折しも発表された2007年にアメリカが排出した温室効果ガスの総量は、前年比1.4%増の72億8000万トンと、過去最高となった。1990年からは16.7%の大幅増加。地球温暖化対策の強力な推進を公約に掲げて登場するオバマ政権は具体的にどう取り組むのか、注目される。(
posted by マーチン&たくぞう at 06:08| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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